ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
Temporary Exhibition Gallery Permanent Exhibition Gallery Cafe Outline & Access Momogusa Original Masanobu Ando's Work Akiko Ando's Work Published Momogusa Blog.
企 画 展 今までの企画展・今後の企画展へ
植松永次展 いつも此処から いつも今から 1999 11月13日(土)〜12月5日(日)
砂場の時間
 幼年時代に遊んだ運動場を大人になってから見ると、こんなに小さかったのかとびっくりする。時間も然りである。あんなに一日が長く感じられたのに、大人になると浪費しているとしか思えないほど一日の終わりは早くやってくる。人と同じ“もの”を見ていてもそれぞれ感じ方が違うのは、考え方や習慣などの違いだけでなく、目の高さや時間の使い方などの物理的条件も影響してくるということだろう。赤瀬川原平さんが疑問のほとんどは幼年時代に思いついたものだというようなことを言っていたが、大人になるにつれ感性が鈍くなるのは、日の位置が高くなるにしたがって地面が遠くなることに起因していると私は考えている。重力がある以上、自然界のほとんどは地面の上に存在している。子供の目の高さは、四足の動物の目の高さに近いのである。
 山の中に入ったり海に潜ったりして自然の中に入り学んだことは多い。しかし、そのような自然いっぱいの素材がなくても、幼年時代は自分の中にもう一人の自分がいて、会話をしながらどんな状況でも創造的に遊ぶことができた。遊ぶ条件としては、やはり四足の動物の目の高さに座り込むことである。話は逸れるが、昨今の地ベタリアンなる輩は大人になることを拒否しているように思える。元に戻すと、合法的に座り込んで遊べる場所は学校では砂場であった。その時代の土や砂の感触を、大人になっても持ち続けているのが植松さんではなかろうか。砂場なんかで遊んでいられるかいと、砂場ともう一人の自分を捨てることで大人になろうとしてきた者たちは、砂場の外に何かがあると思い歩きだした。
 植松さんは砂場を捨てたことがあるだろうか。美術史は砂場の外に飛び出した者たちの歴史である。一般的な作品の多くがそのような美術史の流れの中で作られていることと比べ、植松さんのものは何やらどこかが違う。既成のものに捉われない自由がある。自由とか個性という言葉は危険だが、その危険性の及ばない枠の外に立っている。美術史なんて考えもせず、大地と重厚に交わっていた縄文人と同じ地平にいる。植松さんの作品のタイトルを見る。「時の交わり」「間抜け」「子供たちが乾杯する日」など、我々には見えないものが見えているようだ。
 禅の坊主が悟りを開きたいのなら子供に帰れと言っていたが、植松さんはずうっと砂場にいるのではなく、砂場を出て一周回ってまた砂場にいる人なのかもしれない。周回遅れの地ベタリアンとは、格が違うのである。  
ギャルリ百草 安藤雅信
植松永次 作家略歴
1949 神戸に生まれる
1972 土の質を確かめる事からレリーフを創る その後町田市で焼物の仕事を始める
1975 信楽に入り、製陶工場勤務の傍ら自らの制作を続ける
1981 野焼を始め、グループ展で作品を発表する EXIT EXHIBITION(和歌山)
ART NOW IGA(上野市'82)
1982 伊賀焼の産地、三重県丸柱に住居と仕事場を移す 信楽陶形展(信楽伝統産業会館)
1983 丸柱では陶房に勤め、自身の制作は現地に薪と灯油併用の窯を築き、野焼も含め作品の巾は広がる
常滑・信楽ジョイント展('85) 滋賀・明日の美術展(滋賀県八日市文化芸術会館'89'92)
1985 '85涸沼・土の光景(茨城)
1986 土・イメージと形体(西武大津・有楽町西武)
セラミック・アネックスシガラキ'86(信楽伝統産業会舘・滋賀県立近代美術館'87〜'94)
初個展 ギャラリーマロニエ(京都)
国際陶磁器フェスティバル美濃'86
1987 個展(渋谷西武'89'91)
1988 カフェ・ノアール展(ベルギー)
1989 「土・メッセージIN太夫堀」(世界デザイン博/名古屋'91)
1990 勤めを辞め、自身の制作に専念する
BAO芸術祭IN 沖島
1991 個展(ライフギャラリー点/福岡市'99・ギャラリーm/東京'93'96・うちだ/東京'92'93'95'97)
1992 個展(ナノリウム/富士吉田市'95'98)
現代陶芸国際激請展(国立歴史博物館/台北・中華民国)
1993 第四回茂朱国際陶芸キャンプ展(土アートスペース/韓国ソウル)
個展(海文堂ギャラリー/神戸I96−99)
1994 現代日本陶芸展(グァム)
高柳の里・彫刻造形展(兵庫県八鹿町)
個展(遊器席/名張以後毎年)
1995 個展(ギャラリ掌/名古屋'96'98)
1996 滋賀県立陶芸の森に招待制作
個展(空の気/草津)
1997 個展(Wakeup/徳島・ギャラリー炎舎/新潟・云々/四日市)
1998 個展(花葉/岡山)
1999 個展(なうふ/岐阜・風来/明石・ももぐさ/多治見)
このページの先頭へ
ギャルリももぐさ 〒507-0013 岐阜県多治見市東栄町2-8-16 TEL:0572-21-3368 FAX:0572-21-3369 ■お問い合わせ・通信販売について