ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
Temporary Exhibition Gallery Permanent Exhibition Gallery Cafe Outline & Access Momogusa Original Masanobu Ando's Work Akiko Ando's Work Published Momogusa Blog.
   

 



蚕衣無縫]
真木千秋と百草が提案する布と衣

 

2016.4.23(土) - 5.8(日)

11:00 - 18:00 会期中無休


在廊日|真木千秋 4.23(土) 24(日)



   


 



 

左上)蚕が糸を吐く時ときの微妙なゆらぎを手で束ねて自然乾燥したもの
左)マルダストール(マルダとは黄繭のこと)染めはラックダイ、茜、ログウッド、藍など
  緯糸にタッサーシルクギッチャー糸
右)フローツ二重織り

◎真木千秋さんによる映像トーク

− 育て 座繰り(紡ぎ) 染め 織る — 命をいただき纏う布 -
日 時|4.23(土)
    第一部 「gangaだより」 14:00 - 14:30    聞き手|安藤雅信
    第二部 「繭と糸と布の話」 14:30 - 15:00    聞き手|安藤明子
参加費|無料


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真木千秋さんと初めてお目にかかって話した時、布や作ることの話で盛り上がり、「あれこの人とは初対面じゃなかったっけ、前にどこかで話したのかなぁ」と思うほど、心の純真さと距離の近さに驚いた覚えがある。あれから16年、百草での展覧会は10回を数える。最多出場の真木さんと安藤明子とのコラボ展に「蚕衣無縫」と、的確で広がりを感じさせる名前を付けて下さったのは土田眞紀さんである。糸を慈しむあまりインドに工房を建て始めた真木テキスタイルスタジオと、布を慈しむ明子とのコラボは、衣服の流行とは別次元の、人が衣服を装うことの喜びを伝え続けてくれていると思う。糸と布に真摯に向き合う姿を、今年もまた楽しんで頂きたい。
                                                             安藤雅信




 

左)片二重織りストール
右)コラボレーションサロン
     



北インドのヒマラヤの麓のganga+makiの新工房建設も足掛け3年半、そろそろ終盤にはいりました。
養蚕農家出身の若い石工たちの村から黄繭蚕の卵が届き、出来上がりつつある新工房の部屋で養蚕が始まりました。
竹を素材に蚕棚や、まぶし(蚕が繭をつくるところ)などもすべて手づくりです。竹の棚には泥が塗ってあり、良い頃合いの湿気とあたたかさが蚕にとても良いのだそうです。その後近所の農家も巻き込んでこの春には黄繭がたくさんできあがりました。
蚕が糸を吐くときの微妙な振動が残るような糸で織るために繭から直接手で「ずり出す」という一番原始的な方法で糸づくりに勤しんでいます。暮らしの中の知恵は限りなく、発見の連続です。
                                                                     真木千秋

 

 

左)ganga+maki新工房の一番目の住人/ベンガル地方の黄繭の蚕   中)ベンガル地方の黄繭の蚕 竹のまぶしも手作り   右)黄繭を煮る

 

■ 出品内容
・黄繭からのずり出し糸の風合いをそのままに マリーゴールドの花で先染めした絹糸と織り上げた「黄色&黄色のストール」
・二重織りストールシリーズ 「パストラル」「片二重織り」「フローツ二重」(いろいろなシルク糸、麻)/濃藍、水縹、薄藍、
パステル調のパープル、ピンク、緑、黄色などの組み合せなど
・機の上で衣の形を織り、折り紙のように仕立てた衣「koti カーディガン」 (真綿+ウール混紡糸×麻)/天然色
・糸の縮みで衣を成形した衣「koti ベスト・スカート」(麻×シルク×タッサーナーシシルク)
・空羽(あきは)生地で軽やかなベスト「紐ギャザーベスト」(座繰り絹糸・タッサースパン・麻ほか)/メヘンディ、藍、柘
 榴染め
・穴を織り出した一枚の衣(ケープベスト) /藍+柘榴の青緑、生成、チャコール、濃藍茶
・タビーの小敷き布いろいろ(麻×タッサーギッチャー糸)/生成、薄青緑、濃紺黒など
・その他手織り布をシンプルに仕立てた服
・西表で染めた布「アトランダム織り布」(タッサーシルク×家蚕×デュピオンシルク)/ 福木、藍、ひるぎ染め
・ちくちくと刺し子をした暮らしの小物
・ジャガード織りのクッションカバーや小座布団など
 他、細幅織紐 (麻×タッサーギッチャー、麻×エリシルク、麻×ヒマラヤウール)布々も。

・真木千秋の布を用いた百草サロン 他







折り紙のようにつくるkotiカーディガンとよんでいるもの
いろいろな天然色のウールとシルクの混紡糸で織った袖のある上着

 

 

 

真木千秋

 

1980    武蔵野美術短期大学工芸テキスタイル科卒業後渡米。

1981-84  アメリカ東海岸・ロードアイランド造形大学在学中にテキタイルプランナー新井淳一、
      ファイバーアーティストSheila Hicksに出会い、それぞれから教えを受ける。

1985    同校科卒業後ニューヨークにてフリーのテキスタイルデザインを手がけつつ、中南米、
      東欧、アジア諸国を訪れる。

1990    東京の里山・あきる野に住みついて創作活動をはじめ、インドでの織物作りに本腰を
      入れ始める。

1994    沖縄西表島の染織家、石垣昭子さんと出会い数年後に石垣昭 子、真砂三千代さんと
      現代の衣、「真南風」プロジェクトを開始し、ニューヨーク、沖縄、東京にて発表。

2000    南アフリカ、ケープタウンのデザインスクール・Madessaで開 催された「Textile
      Tomorrow」ワークショップで講師。

2006    あきる野市の真木テキスタイルスタジオの敷地内に竹林の店をopen。
      あきる野では春には近くの養蚕農家の繭の座繰り、夏は蓼藍で染めなど、他、スタジオ
      周辺での仕事やデザイン作業を続けている。

2010   ヒマラヤの麓に半農半工を志す人々とともにganga工房を立ち上げ、素材作りから、紡ぎ、
      染め、織り、仕上がりまでの布、 衣づくりを始める。

2012    夏、Studio Mumbaiのビジョイ・ジェイン氏に出会う。

      ganga+maki 新工房建設プロジェクトがはじまって以来現在 に至るまで、土地の素材を
      使って衣食住にまつわる手仕事全般に関わりながら素材づくりからの染織をつづけている。

2014-    野蚕エリシルクや黄繭養蚕をganga工房で行いながら地元の養蚕農家も巻き込み農家で
       の糸づくりを始める。

ゆらぎの残る糸を織り込んだ布でつくった衣(空羽衣)    
 
ゆらぎのある糸と縮みのある糸で織る空羽織りのサンプル
(染めはマリーゴールド+生成りの黄色)羽衣




  機の上の片二重織りストール


素材(いのち)の始まりから育て、素材の持つ煌めき(いのち)を、手を用い抽き出し、最終形まで、綿々と続いたいのちの連携の中で関わる、という、いまの時代にあって奇跡のようなお仕事を、真木さんにしかできない表現で形にされていらっしゃる…本当に稀有でありながら、個人のスケールに留まらず「村」しいては、「国」を巻き込んでの地球規模の大仕事…。
俯瞰して見ることが苦手な私ですら、真木さんの為さっていることの意味の大きさを考えるとき、人間という傲慢な愚か者にどんどん破壊されていく中、僅かに残った美しい地球を守っていく、地道でありながら着実な一つの方法を示していると思います。
真木さんのつくり上げる美しい作品を見るとき、ふと正気に戻り、本当に大切なものの原点に引き戻されます。
真木さんの作品や糸、真っ黄色の繭などの美しい画像を瞼の裏に思い浮かべながら、この美しさへの感動が、相反する世の中にあって、「みどりのゆび」のチトが咲かせる花のように、世界を変えてくれるのではないかと、小さな希望の灯を確かに感じています。  
                                                                     安藤明子








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