ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
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イイノナホ展

2014
6.14(土)- 29(日)

11:00 - 18:00  会期中無休

作家在廊日|6.14(土)15(日)29(日)


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■出品内容

彫刻(キャスト/ソリット)
ランプ(クローバー/kirakira/round/evening/blue bird/rosy)
シャンデリア(very sweet/balloons/森の鳥)
ペーパーウエイト(クローバー/クローバーカップル/ランデヴー/ペア/ハート)
キャンドルホルダー(drop/breath)
トレイ(うさぎ/鳥)


 
 

 

 







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透明な壁の向こう

美術館で開かれる展覧会では、必ず作家の年表に目を通す。そこからぼんやりと作家像が浮かび上がり、作品ができる道程に寄り添ったような気になる。幼年時代の興味と遊び、学校の選択と生活、就職や結婚、子供との関わりなど、作家の創造力とは直接的に関係のない事柄でも、作品に潜む謎を埋めるジグソーパズルの小さなピースのようになり、理解の背景を補ってくれる。だから、百草のDMでは作家に年表をいつもお願いしている。
 しかし、今展のナホさんから、子供時代だけでも上下巻の本が書けるくらいあるのでまたの機会にしますと返事が来て、ちょっと残念だった。何故なら、超絶技巧やアイデアを作品の見せ場としたり、またガラスでこんなことができますという素材ありきのガラス工芸家が多い中、ナホさんのガラス作品には表現したいことが溢れ出ていて、感受性の鋭い幼年時代を送られたのであろうと推測していたからである。彼女の作品集に幾つかのヒントがあったので、記してみたい。

「透明なものが好きだった。小さいとき近所にあった半地下の小さな駄菓子屋に、10円玉を握りしめて遊びにいく。まぶしい裸電球の下に色とりどりのお菓子やおもちゃが並んでいる。私のお目当ては紐のついた飴と水飴、そして5ミリほどの大きさのガラス粒だ。スプーン一杯30円ほどだったと思う。その三つでいつも迷う。…」
「ロウソクを火であぶって指でつぶしたり…。冬にはストーブの前にプラスチックの破片などを近づけて溶かしてよく遊んだ。…」
ナホさんがガラスに到達するのは必然だったようだ。

ガラスの塔の中にいる。
壁はどこまでも高く空を感じることもできない。
声を出しても届かず吸い込まれていく。
その壁は青く白く透明で冷たい。
そんな夢をよく見る。

この彼女の詩から、鮮明に残る数々の幼年時代の記憶と、その記憶の物語の続きを足していきたいのに、もう子供には戻れないもどかしさを感じた。でも、そのもどかしさが彼女の創作の原動力になっている。壁は冷たくて高いかもしれないけれど、透明であるうちはその向こう側にある記憶が作品に表れてくる。個展での作品は物語の断片的な続編、それぞれの前編を想像しながら、展覧会を楽しんでいただけたらと思う。透明な壁をすり抜けて同じフィールドに立っているかのように。                   

安藤雅信

                               

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イイノナホ


1967 北海道洞爺湖温泉町生まれ、東京四谷育ち
武蔵野美術大学彫刻科卒業後、吹きガラスを始める
東京ガラス工芸研究所日曜講座、
ピルチャックグラススクール(シアトル)で学んだ後、
1997 作家活動を始める
2007 ガラス工房を東京中野に開きブランド名を iino naho glass garden (ingg)とする。

現在、アートピース、シャンデリアの他、
ペーパーウェイトなどのプロダクトにも力をいれ、
フランス、アメリカ、韓国など始め、国内外に活動の場を広げている


展覧会
1997 個展 ( CAC ギャラリー,東京)
1999 個展「散歩中」(スパイラルマーケット,東京)
2003 個展「Heart」(ギャラリーfeve,東京)
2006 個展「水と空の間」(ギャラリーfeve,東京)
   香水展(エコール デ ボザール,パリ)
2007 個展「SUNS」(ギャラリーMITATE,東京)
2009 個展「高揚」(ギャラリーfeve,東京)
   個展「花の為に果実の為に」(ギャラリーMITATE,東京)
2011 個展「OPAQUE」(ギャラリーfeve,東京)
2012 ガラスとヒカリ出版記念展示(ギャラリーfeve,東京)
2013 個展「冬の灯り」(ギャラリーfeve,東京)


著作
作品集「水と空の間」(六曜社) 作品集「ガラスとヒカリ」(millebooks)

 









   


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