ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
Temporary Exhibition Gallery Permanent Exhibition Gallery Cafe Outline & Access Momogusa Original Masanobu Ando's Work Akiko Ando's Work Published Momogusa Blog.
山田節子が選ぶ 器量ある7人の仕事
2012年 6月16日(土)− 7月1日(日) 11:00 − 18:00   会期中無休
工藤 省治(陶)   伊藤 慶二(陶)   赤地 健(陶)   福森 雅武(陶)
矢沢 光広(漆)   十時 啓悦(漆)   東 日出夫(漆)
作 家 在 廊 日:6月16日(土)

山田節子在廊日:6月16日(土) 17日(日)

トークイベント

「作り手との対話」

工藤省治 伊藤慶二 赤地健 福森雅武 矢沢光広 十時啓悦 東日出夫 山田節子

6月16日 16:00〜

百草にて 参加無料  要予約(当日参加も可能)   FAX 0572-21-3369  E-mail : galerie@momogusa.jp

若い作り手達に伝えていきたいことがあります。流行っているモノのいいとこ取りばかりでなく、歴史からも学んで欲しいと。デビューが若年齢化し、下積みの時間がなくなった事で、じっくり学ぶことが少なくなってきているようです。昭和の時代に、作家・作品主義ばかりによらず、日常の食器に力を尽くしてこられた方達が地盤を作り上げて下さった。その上に我々が成り立っていることに気付いて欲しいと言う思いから、山田節子さんに企画をお願いしました。若い人たちに作り続けることと繋いでいくことの節子さんと7人の作家の、物作りや器についてのお話、時代を通して大切にしていきたいもの、伝えたいものについての対話。
百草の場にて、世代間の交換がなされ、先達の成し遂げてこられたことを繋いでゆくきっかけとなりましたら嬉しく思います。意味を問うていきたいと考えています。

「なにげない献立のひとつひとつを、豊かに受け止めてくれる器、使いやすく、盛り映えがする器があることで、人の心や日々の暮らしがどれほど膨らみ、育まれることか」と思っています。仕事を始めて半世紀近く、コーディネーターとして実に様々なことに関わってきましたが、その多くは折々の生活実感や、幼き日の記憶から、糸口が見つかることが殆どでした。その中で「器」と向き合い企画を始めたのは70年代からです。
今回は安藤ご夫妻から「私たちより前の世代の作り手の仕事を」との依頼があり、私が長年にわたり、信頼し接してきた、それぞれに「 心棒のある 」作り手7人にお願することとしました。
近年、ますます簡便化し個食化していく食卓風景。必然的に希薄になっていく器事情。この様な時代の中で、筋の通った良き器との出会いを楽しんでいただけたらと思っています。

山田節子

山田節子 プロフィール

生活者の視点で ものともの 人と人 ものと人が出会う場作り・人作り・ものづくりのコーディネートを手掛けている。日本人の心・技・生活観を現代の生活に生かすため、各地 各分野のネットワークを選択し・融合させ・組み上げる。 固有性のあるライフスタイルをテーマに、未来の扉をたたくべく、様々な取り組みを続けている。

1943 長野市生まれ
1966 多摩美術大学卒業
1967 デザイン工房「フリュード」設立参画
1974 山田節子事務所設立
1988 株式会社 TWIN 設立 代表就任
1976〜銀座松屋そのシンクタンクタンクである 東京生活究所と契約し、百貨店戦略全般にわたり提案・推進・教育など40年余続けている
   1974 日本人の食器展 で器  1981 伝統食材再考
   1984 現代茶席で本物の茶葉  1986 ギフト再考 ギフグティング
   1987〜日本の美シリーズ 装いの美 王朝の遊び 桜 日本の色 日本のしつらい等
   1999 粟辻博・森正洋・柳宗理 三人展
   百貨店松屋という場の力を借り 各種各様の生活提案を続けている

1999
〜会津 アルテマイスター・そのアンテナショップであるギャラリー厨子屋の企業戦略企画推進及び社員教育全般にわたる。
    クリエーターの力を導として、心の用度として祈りの文化の今そしてこれからを模索し、日本のものづくりを推進。
2002〜西麻布ルベインのミタテショップ・ギャラリーに計画から参画し、ディレクターとして社員の育成 展覧会 企画推進
    ショップ関連商品戦略など手掛けている。ベテランから若手まで 多様なジャンルのクリエータ
ーへ展示の場及び商品
    販売を通し、作り手とお客様の新鮮な出会いの場の構築推進。

他に、地場産業の指導育成 教育現場 各種審査委員 老舗店舗 新規店舗 ホテル スーパーマーケット高度化戦略などの企画多岐にわたる。
多くの展覧会企画などを通し、クリエーターの育成などに積極的に関わっている。

出展内容
工藤 省治 碗 鉢 皿 大鉢 筒花生
伊藤 慶二 鏡文字文様鉢 湯呑 陶の盆
赤地 健 大皿 小鉢 飯碗 小皿 湯呑
福森 雅武 小鉢 湯呑 皿 鉢 酒器 茶碗 壺 土鍋(土楽窯)
矢沢 光広 椀 皿 盆
十時 啓悦 日常の使いやすい漆道具
東 日出夫 古文字椀 落書き錫研ぎ折敷 お重 大小椀各種
工藤 省治
工藤 省治  1934年 青森県生まれ

砥部・梅山窯の育ての親である。今ある紋様の多くは工藤さんがデザインしたものであり、サンプルを見て職人さんが作る。40歳の時に自宅に窯を作り、正岡子規が「乳の色」と詠んだ、白生地の美しさを生かした、ふくよかなフォルムの器を発表することで、砥部の価値を知らしめ続けている。今も尚、週半分は急な坂道をマウンテンバイクで梅山窯に通い、一職人として羅針盤の如く仕事を見守り、他の日は若手を育て、自作の仕事を楽しむ。愛媛県砥部に住み、宿命として険しい産地の先頭を歩き続けている。
伊藤 慶二
伊藤 慶二  1935年 岐阜県土岐市生まれ

私は、仕事場の一つである百貨店の研究所で、40年近く伊藤さんの朱巻の湯呑を使ってきた。そこは良きにつけ悪しきにつけ、モノが去来する商いの場。そんな忙しなく儚き時間の中で、愛用の湯呑を両の手に抱え、ゆっくりと一服する。揺るがぬ器に、エネルギーを分けてもらえて来たと感じている。物の成り立ちを深く考え、余分をそぎ落とし,大地から割れ出したごとき形が生まれる。器一つ、生き方を道案内されるがごときである。最近はオブジェの仕事でのお付き合いが多いが、今回は器もと願う。
赤地 健
赤地 健  1938年 石川県金沢市生まれ

15年前から金沢で、若手からベテランまで、40人前後の作り手が集まり、縛りの無いもの作り勉強会が続いている。これからという若い人や行き詰まりを感じて参加する人も多いが、一番ベテランの赤地さんは、皆勤賞。そのことが、会が継続している理由の一つでもある。課題に向かい、若手が追いつけぬ発想で九谷色絵を追い続け、その姿勢は常に謙虚で変わらない。我家では幼いころから九谷焼の大鉢が食卓に並ぶ日は、特別な献立の日で嬉しかったものである。だからこそ今の暮らしに似合う色絵を是非にと。
福森 雅武
福森 雅武  1944年 三重県伊賀生まれ

料理の名人であり花生けの名手でもある。何度となく伺ってきたが、必ず山や庭先の季節の草木や花を生け、みずみずしく迎えてくれる。時には囲炉裏に福森の黒鍋をかけ、自らの手で、色よく、美味しく食させてもくれる。白洲正子が京都から電話を入れ、「ひと山越えても食事は福森で」と云われたことを、今も、労を惜しまず繰り返される。使い上手が作る器は使い良く盛りやすい。昨年、紅志野のようにほっくりとした器が生まれ思わず手に入れた。「いい土が見つかったので」とさりげなく云われた。
矢沢 光広
矢沢 光広  1946年 神奈川県鎌倉生まれ

矢沢さんのお父様は鎌倉彫の職人さんでした。父親が作ったような漆器は作りたくなかったと云い、自分が生活の中で使いたいものを作り続けたいと云う。展覧会や、賞を取るとかには興味がなく、納得できるものを作っていたいとその姿勢は変わらない。我家で何でも盛って、子供たちが幼いころから使い続けている根来の鉢がある。禅寺の修行僧が使い込んだ器のような、けれん味のない風で、良い艶に磨きがかかっている。前に出る人ではないが、椀も盆も鉢も箸も、実に自然体で品性を感じる仕事である。
十時 啓悦
十時 啓悦  1950年 大阪府豊中生まれ

十時さんとのご縁も実に長いが、忘れられないことがある。木からコンクリートに線路の枕木が変わり始めた80年代、駅の脇に野積みされた枕木が気にかかり、尋ねると廃棄するとのこと。多くはクリの堅木で絶好の材料。譲り受け上等で格安な漆椀が生まれた。我家でも使い、今では息子夫婦や孫が使っている。手間暇かければ良いものはできるが当然値段が高くなる。だから、値段を抑えて、現代の生活に生きるものを作りたい。形も塗りも一人で作れる分、使い勝手の良いユニークなものが生まれる所以である
東 日出夫
東 日出夫  1950年 東京深川生まれ

惜しまれながら廃刊になった雑誌「銀花」。その百号記念展を1994年松屋で開催した。タイトルは「百の手百の宴」、人の手は過去を伝え、現在を支え、未来を拓く。創刊以来25年間、雑誌に登場した人の中から、良き手の人の器を集めた作品展でした。その一人が東さん。スケッチブックに落書きのようにスケッチをする。古いもの新しいもの、古文字も、摩天楼も。そこから飛び出し特有な紋様となって、純真な心のままに彫られ削られ描かれる。その表情は忘れ難く、人の心を掴み離さぬものがある。

今世紀この世界に入った作家や編集者、またギャラリーにとって「食器を作る」ことは当たり前だと思われるかもしれないが、「美術作品化」全盛期の20世紀では地道な努力が必要だったことは余り知られていない。
 まだギャラリーは少なく、力のあるデパートに仕掛け、様々な運動的役割をして、作家たちを縁の下から支えてこられたのが山田さんである。「伝統を現代に」をキーワードに、その黒子役を担って40年、今尚若手の育成にも力を注いでおられ、常に新しい風を吹かして見える。
 今展は76年に銀座松屋で催された「日本の食器」展を基に、昭和と平成を繋ぐ展覧会にしたいと、山田さんにお願いした。確かな技術とセンスで経歴を重ねてこられた作家達の仕事を是非見ていただきたい。

百草 安藤雅信
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