ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
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古道具坂田 眼の仕事 lll

2012  3月10日(土)〜25日(日)

11:00〜18:00

会期中無休




「坂田さんを囲んで」

懇親会  2500円(飲食付)

日 時  3月10日(土) 18:30〜21:00

場 所  カフェ温土
     多治見市本町3-11 ながせ通り
     0572-51-1350
     http://ondo.tajimi-tmo.co.jp

予約制  百草 fax 0572-21-3369
E-mail galerie@momogusa.jp

予約の受付を終了しました
キャンセル待ちとなりますので、御了承下さい


百草カフェ
ルヴァンのパンと季節の野菜のランチプレートをご用意します

山が見える

英語の西洋覇権に対して西洋生まれのロックを、英語で歌うべきかという「ロック日本語論争」(はっぴいえんど論争)が40年前にあった。西洋文明に隅から隅まで支配されていくことに悔しさを覚えていた時代の話である。明治期からの西洋支配に対抗するサブカルチャー「バンカラ」の気風もまだその頃残っていて、中学生時代、自宅では下駄を履くことでささやかな抵抗を僕もしていた。
 最近ちょっとした集まりで一番の年長者になる機会が増えてきて、「西洋コンプレックスはある?サブカルチャーとメインカルチャーをどう思う?」と年下に聞くようにしていたが、「コンプレックスありません。サブもメインもないでしょ」という答えしか返ってこないので聞くことを止めてしまった。共に山越えしているつもりだったのに振り向いたら誰もおらず、とっくにスルーして若い人たちは向こうへ行っていたという感じ。そこには環境や資源などの社会問題があり、サブカルチャーは対抗文化でなく、アニメやゲームオタクなどの少数派を指すサブカルという言葉になっていた。支配層の力が弱まり、共同体が崩壊しつつあることで、強かった価値観に若い者などが抵抗するという図式が成立しなくてなってきているのだろうか。関心は個としてどう生きるかであり、若い女性が電車の中で化粧することも、彼らの反原発もあくまで個の延長線なのである。個の追求はもちろん大事だが、共同体に抵抗することで磨かれる個もあるのではないだろうか。
 山の中腹で抵抗している坂田さんの後ろ姿をずうっと見てきた。戦後を引き摺っていた昭和30年代半ばまでに生まれた我々戦後生まれは、どこかしら支配層を見つけて闘おうとする癖のようなものを持っている。古道具坂田に影響を受け、並べているモノが似ている若い人たちの感覚の良い店は増えたが、どこか物足りなさを感ずるのはそれ故であろう。坂田さんが選んだモノには「ほら誰も気付かないけど、こんなに美しいものがまだあるんだよ」と語りかけてくる力強さがある。個の美意識の延長だけで、誰も気付かない新しいものを発見し続けることは難しい。何故ならば支配している古い価値観があって、初めて「新しい」と感じるからである。
 覆っている支配的な価値観に何かが欠けていることに気付いたり、隠されているモノやコトに光を当てることが坂田さんの仕事であり、山を破壊することや、新しいものを見つけることが目的ではないだろう。アートの本質と同じで、山の存在とその裏側に気付いて貰えればいいのである。坂田さん独自に築き上げてきた価値観がまた支配層にならないよう、内なる山も越えていかねばならない。そのような姿勢も含めて、40年を迎える古道具坂田の普段の姿を百草で若い人たちに一人でも多く見て貰いたい。
百草 安藤雅信
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