ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
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志野茶碗 '99
「吉田喜彦」展

2000 11月3日(金・祝)〜 11月26日(日)
11:00〜18:00
会期中無休
約束のできる前
 美濃で生まれ育ったせいか、現代の志野・織部・瀬戸黒などの作品に触れる機会は多い。しかし、どれだけ数を見ても良いのか悪いのか分かってこない。誰其の志野が一番だとか言われても、どこをどう評価してその人が一番だと断言しているのかもさっぱり理解できない。桃山時代のオリジナルの志野は良いなあ欲しいなあと思えるのだが、現代のものになると・・・。
 茶会で自分がやりたいと思っていることが、現代に伝えられている教えと違っていたり、ずれていたり、教えになかったりした場合、利休だったらどうしただろうと考える。意外に最初にやり始めた人の言っていることはシンプルである。茶道に限らず、仏教にしたって、キリスト教にしたって、初代または教祖の話したことが、月日が進むにつれ推測や解釈がどんどん加わって、約束やら規則やらが作られ、組織化していってがんじがらめになってしまうのは物事の常である。約束の中でゲームのように遊ぶのも楽しいことは楽しいのだが、それに捉われている人と出会うと、そんなことどうでもいいじゃないもっと大事なことがあるんじゃないと言いたくなってしまう。現代の焼き物もそれに似ている。茶席で掌に納まることを忘れて、約束を如何に果たすかだけを考えて作られているものが多いように思う。約束ではここに火色がどうのとか、高台の作りがどう のと言うが、古い時代の最初に作った人はそんなこと意識せずに作っている。約束は全部、後で発見され作られたものである。  
 吉田さんの志野を初めて見た時、手に取って使ってみたいと思った。内側から.ぷくんと膨らんだような柔らかい形と衒いのない色。吉田さんのお人柄そのものだと思えた。茶碗という用途を取り去れば、彫刻のように存在している。約束通りに作ることは技術的には大変かもしれないが、創作としては楽である。約束とは違う自分の形や色を追求することは、安っぽい個性と違って、そんな簡単にできることではない。吉田さんの場合、古道具や現代美術に触れ、デッサンをしたり、彫刻を造ったりしてあの茶碗の形が生まれている。 焼き物作りの基礎の一つには、外の空気を一杯吸う事である。利休の時代、美濃の陶工も京都に勉強しに行っていたそうだ。  
 利休は恐らく約束を破る為に、丹念により強固な美意識を作り上げていった。約束の裏側に潜んでいるものが、約束より強く大きくなった時、約束の殻を破って新しい美が造られる。利休と違って吉田さんは約束も新しい美も関係なく、極く自然に美しい形と色を求めて作っていらっしゃる。古代の人間が必要にかられて初めて器を作った時のような初々しさがある。今展では、茶道具・食器から彫刻と幅広く出品して項き、それに加え御自身が集めてこられた古道具の一部も展示して項けることになった。乞うご期待。
ギャルリももぐさ 安藤雅信
1936 栃木県宇都宮に生まれる 幼い頃より何かを見ているのが好きで、小学校四年生の時、絵描きになると決める
1954 宇都宮大学付属中を経て、宇都宮高校卒業日曜日に林武さんのところに通う この前後からマチス・ピカソ・宗達・光琳等の大きな展覧会を観て、自分の絵が大したものでないことを知る 上野の博物館に通う間に、陶器・書・仏像等を熱心に観るようになり、陶器を作るなら職人的な道もあり、才能がなくても何とかなるかと考え濱田庄司先生に弟子入りを頼むも、奥様が「暫らく休みたい」とのこと 「どこか土づくりから何でもやっているところで暫らく仕事をしてきたら」と酒田先生のお詰もあった 志野も好きだし、山の中で一人で作陶しているとの第一回人間国宝展の荒川先生の紹介文に、酒田先生の話が重なり、荒川先生に弟子入することになる
1956 大萱での作陶修業が始まる 以後、益子や東京で濱田先生にもお会いして、作ったものをお目にかけ、 蒐集品も見せて頂く
1968 大萱に家を作り独立
1969 初窯 初個展 以来数ヶ所の百貨店での個展を作品発表の場とする
1981 東京新宿区の備後屋ギャラリ←華での第一回展、以後97年までに九回の個展をして、その都度作品集を刊行 この間ほとんど華だけを発表の揚とし、華の俵有作さんから沢山のことを学び、沢山の品々を観せて項いた 誠に嬉しい歳月でした 小さいながらも、今こうして仕事を続けられるのは、有名無名の多くの良き方々とお会いできたからだと感謝しています
1988 現代日本陶芸展(アメリカ・ポートランド美術館)イギリス・ビクトリア&アルパート美術館 粉引大壷収蔵
1989 東京国立博物館 信楽しのぎ手大板収蔵イギリス・ビクトリア&アルパート美術館 信楽しのぎ手筒他三点収蔵
1990 ダラス美術館 粉引大壷収蔵
1992 JAPANESE STUDIO CRAfTS展(ビクトリア&アルバ山卜美術館)個展(壷中居・日本橋)
1997 大阪東洋陶磁美術館 三弁花形鉢収蔵
1999 個展(壷中居・日本橋)
2000 個展(鹿武宇都宮百貨店)他オーストラリア アメリカ・コカコーラ美術館等収蔵団体に所属することなく、公募展にも出品せず今日に至る
白化粧蓮弁'00
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