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古道具坂田 弥生土器

古道具 坂田展

2008
3月15日(土)〜3月30日(日) (会期中無休)
11:00〜18:00

作家在廊日:3月15日(土)・16日(日)

シンポジウム「サブカルチャーと民芸」

坂田和實  土田真紀(美術史家)  内田鋼一(陶芸家)

日時:3月15日(土)  14:00〜15:30  13時より会場にて受付

場所:多治見市東栄公民館

会場は百草より徒歩で5分程の所にあります
なお、駐車場はございませんのでお車は百草に駐車願います
駐車台数に限りがございますので乗り合わせてお越しください
当日百草駐車場にて会場までの道順をご案内いたします

料金 1,000円(税込・美術館as it is入場券付)
要予約 限定100名
TEL0572-21-3368・FAX21-3369・E-mail galerie@momogusa.jp

確信犯のサブカルチャー

 エリック・クラプトンやジェフ・ベックがテレビや雑誌に出ると、ちょいと気になって見入る。青春時代のヒーローではあったが、彼らがどう齢を重ねているのかが気になるからである。1960年代に強い力となったサブカルチャーは、御上主導の古典や伝統、アカデミズムなどの主流派に対抗して育ってきた文化であり、移り気な大衆から起こるものであるから消費されて寿命は短いと言われている。10年人気が続けば良いとされる音楽界で、彼らは40年以上現役を張ると同時に、老いとも戦いながらブランド力を失っていないことに驚く。
 伝統芸能やクラシックは、実力のうちの多くを基礎が占める。主役が倒れても代役が利くのはしっかりとした基礎が演者の共通基盤として働くからだ。一方、ミック・ジャガーが急病となれば公演は中止。感性と個性が武器なので、代役はもちろんのこと実の子でも跡は継げない。そのかわり伝統芸能で一流となるには修業から含めて十数年はかかるが、サブカルチャーのデビューは早い。美術の世界は音楽と違って齢を重ねていく良さが出やすい文化であったが、近頃はその美術ですら20代でのデビューは当たり前になってきた。たとえ未来への保証は何もない消費文化であろうとも、民衆が時代を動かしつつある現代では、文化のサブカルチャー化は音楽界だけでなく、これからもあらゆる分野に浸透していくであろう。

 茶の世界を中心にして価値観を伝世してきた骨董業界や装飾・自己表現に傾いていった工芸界、国を挙げての工業化に、昭和初期、柳宗悦は民芸という新しい価値観を持って切り込んでいった。封建時代の名残がまだあった頃、民衆からの声の代弁が初めて形になった瞬間である。そこまではサブカルチャー的であったが、その後文章や民芸協会の活動を通じて、価値観の普及をはかり官に依らない主流派の一つを目指した。それによって民芸は形式化し現代を映す鏡でなくなった。
 世界に誇れる民芸思想の本質はサブカルチャーであり、現在進行形で革新していきながら常に美とは何かを我々に問い続ける現代美術のように、社会に埋もれ隠れていたものを顕在化できる力を持つものだ。その意味において坂田さんは、柳の思想を受け継ぎながらも、骨董界のマルセル・デュシャンであるべく常に主流派に対抗的である。
 骨董にせよ美術にせよ、いずれ値が上がるという価値付けが、大量消費とは違う稀少品の経済システムを支えてきた。しかし、ぼろぼろぐずぐずの中から選りすぐられて古道具坂田に並べられているものは、それを逆流するかのように骨董という価値をまだ持つ前の道具達であり、我々にどうして坂田に置いてあるのかを問いかけてくる。哲学的な意味より、ものが作られた時の初源性とか、それがどう使われてきたかという過程を踏まえた上で、初めて世に出たかのような素と出会い、そのもの自体の美しさに気付く。そして、それから思想と美意識が裏付けされる。感性が武器だけの他のサブカルチャーとは一線を画す。

 60代になって茶の湯にコンセプトと美意識を持ち込んだサブカルチャーの元祖・千利休のように、古い物を扱いながらどんどん現代に切り込んでこられる坂田さんから目を離すことが出来ない。私を含め坂田さんから影響を受けている作家や古道具店は多いが、確信犯的にサブカルチャーであり続ける坂田さんの後をこれからも追い続けるであろう。坂田さんが原野を伐採し開墾して種まきをしてこられた上に、我々の仕事は成り立っている。


                         百草 安藤雅信

坂田和實

1945 福岡県北九州市生まれ
1973 古道具坂田設立開店
1994 美術館 as  it is 設立開館
2003「ひとりよがりのものさし」(新潮社)出版


企画展覧会
1977 アフリカの古民具展
1978 Primitive Art 展
1980 望月通陽染布展
1981 英国のスリップウェアー展
1983 望月通陽展 李朝木工小品展
1985 中国彩文土器展 李朝の民具展
1988 アフリカ・ドゴン族のはしご展
1989 西洋木版古カルタ展 アフリカのフォルム展
1990 西洋の中世・近世工芸展 エジプト コプト裂展
1991 ドゴン族の扉と日本の土器展
1992 日本の野良着・仕事着展
1993 古い金属の造形展
1994 西アフリカの土偶展
1995 西洋銅板手彩色プリント展
1996 マダカスカルの木彫とピグミー族のタパ展
1997 オランダ白釉陶器展
1998 李朝の鉢と碗展
2000 李朝の平瓦と懸け花展
2002 西洋の中世・近世工芸展
2004 中国漢時代俑と緑釉家形展
2006 周辺のキリスト教聖画展

ももぐさカフェ

期間中はルヴァンのパンを使ったランチをお召し上がりいただけます。
古道具坂田 デルフト白釉小壺 くらわんか手小皿 小机
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